<第158回例会>
日時 2014年5月17日(土) 13:00〜17:00
場所 神戸女子大学 教育センター
日時 2014年5月17日(土) 13:00〜17:00
場所 神戸女子大学 教育センター
世界の穀物情勢と小麦粉からみた食の変化
一般財団法人 製粉振興会
参与 長尾 精一
参与 長尾 精一
1.世界の穀物情勢
(1)生産と消費
生産量は増加。2013/14年度は24.41億tで、トウモロコシ9.59億t、小麦7.09億t、米4.74億t、大麦1.45億t、モロコシ6080万t、エンバク2400万t、ライ麦1750万t。トウモロコシはアメリカと中国が抜群、ブラジル、ウクライナ、アルゼンチン、インド、メキシコ、フランスなど生産国に偏り。小麦は中国1.22億t、インド9350万t、アメリカ5800万t、ロシア5210万tのほか、フランス、カナダ、オーストラリア、ドイツ、パキスタン、ウクライナなど、世界中で生産。米はアジアに集中
消費量も漸増。23.88億tで、食用(47%)と工業用(13%)が増、飼料用(35%)は変動。工業用の約半分のエタノール用はここ数年横ばい。トウモロコシが最大(9.31億t)で、飼料用(58%)、工業用(28%)、食用(11%)共に増加。米(主に食用)は増加し、4.74億t。小麦の食用も4.74億tに増え、残りの大部分は飼料用
(2)貿易と価格
貿易量は生産量の13.3%(3.24億t)、その45%は小麦、34%はトウモロコシ、12%は米。トウモロコシは生産量の11.5%、米は8.1%だが、小麦は20.7%
トウモロコシの輸出国はアメリカ、ブラジル、ウクライナ、アルゼンチンなど、輸入国は日本、EU、メキシコ、韓国、エジプト、中国など。中国の輸入量が増えるか。小麦の輸出国はアメリカ、EU、カナダ、オーストラリア、ロシア、ウクライナなど、輸入国はエジプト、中国、アルジェリア、日本、イラン、韓国、EU、ナイジェリアなど。黒海沿岸地区の小麦への依存度が高まるか。海外に農地を確保する消費国も増える
価格は高い方から米、小麦、大麦、モロコシ、トウモロコシの順。米と小麦は産地、等級による差が大。乱高下を繰り返したが、2012年をピークに下落し、やや高値圏で推移。地域的な気象条件や政治情勢などを材料に小幅な上下を繰り返す
(3)育種の動向
(a)育種期間短縮への試み
Queensland大学は夜も光を当てて1年に8世代進め、10年以上の期間を2.5年に短縮
小麦遺伝学資源センター(Kansas州)は通常の半分の6年半で作出
(b)さび病耐性小麦品種作出と導入
黒さび病は小麦収量を70〜100%減。1999年にウガンダで再発。ケニヤを経てアフリカ、アジアへ広まったUg99にFAOが警告。ケニヤ大学がIAEAとFAOの協力で、放射線照射で突然変異を加速して品種開発。パキスタンはCIMMYTの2品種を導入
(c)旱魃耐性、高温耐性品種の開発が急がれる
Stanford大の研究。生育後半の高温は光合成細胞を損傷。気温2.0℃上昇は生育期間を9日短縮、収量を20%低下。2060年代には4.0℃上昇の恐れも
Liverpool大教授がリーダーの国際チームが9万以上の遺伝子を分析、小麦ゲノム解読に成功。DNA配列新技術で害虫、病気、旱魃に耐性の高収量品種開発が可能に
日本など14か国の政府機関と国際機関による小麦収量を20年間で50%高める小麦収量ネットワークが発足。光合成を含む生理機能改良を通しての収量増に注力
(4)遺伝子組換え作物の動向
(a)作付けが増えた
2013年の遺伝子組換え作物作付面積は4.26億acre(前年比6%増)。全作付面積中遺伝子組換え品種は、大豆と綿花が81%、トウモロコシが35%、カノーラと菜種が30%
2012年の遺伝子組換え作物栽培面積の52%が発展途上国(前年比11%増)、48%が先進国(3%増)。28か国中20か国が途上国。他に31か国で認可
(b)アメリカがリーダー
作付面積中の遺伝子組換え品種はトウモロコシと綿花が約90%、大豆が約93%、サトウキビが約95%が。2013年のトウモロコシの71%が高収量品種(前年は52%)
(c)Monsanto社の世界初の遺伝子組換え小麦品種開発が最終段階
除草剤Roundup主要成分のグリホサートに耐性。拒否反応を示す市場が多い
(d)オーストラリアでも研究が進む
高収量、蛋白質消化性の改良、旱魃や霜害への耐性などを目標。実用化は数年先
2.小麦粉から見た食の変化
先進国では、小麦粉食品のバラエティ化が進み、食生活が豊かになっているが、小麦粉消費量は増えない。健康への関心は高いが、シリアルの消費が少し増えているものの、小麦全粒粉の消費は低レベル。肥満も増加
途上国では、格差が拡大し、都会や中以上の階層で小麦粉消費が増え、食生活が豊かに。今後も消費は増え続ける
(1)アメリカ
パン消費減で1人当たり小麦粉消費量は1972年に49.9kg。1980年代半ばから増え1997〜2000年は64.9〜66.6kg。再び減り61kg前後に。他の穀物消費量も多くない
家庭の夕食の料理数が減り、4番目の料理(パン)に影響。夕食のメインディッシュがサンドイッチの家庭が11〜12%に。朝食のトーストは減り、外で朝食を摂る人が増え、その約半分がサンドイッチ
小麦粉食品は焼きたてのパンやロール、外国由来のパン、ペストリー、めん、パスタ、スナック、小麦粉トルティーヤなどバラエティ化。シリアルの消費も増加。パン用粉灰分は0.6%くらいで、白パンも色がくすんできた
消費者が価格に敏感で、炭水化物とNa摂取量に関心を持ち、パン類の量と種類に注意
「アメリカ人のための食事ガイドライン」で穀物の半分を全粒穀物で摂取するよう推奨し、業界も努力しているが、小麦全粒粉は小麦粉の5%
(2)ドイツ
長期的にパンの消費が増え西欧では一番多いが、ここ数年横ばい
パンとブレーチェンがあり、ライ麦粉混合パンが主流だったが、ライ麦粉の消費が激減
小麦粉加工品は多様化。バゲット、チャバタ、ピタ、トルコパンなど外国由来のものが増加。冷凍生地がそれを容易に。白くて軽い甘いパンも好まれるように
健康への関心が高い。天然、自然、有機、非遺伝子組換え、無添加、機能性など。全粒粉パンなど自然な機能性食品が好まれるが、狭義の機能性パン(オメガ3パンなど)も伸び
(3)フランス
1人1年平均小麦粉消費量は50kg弱で、デュラム製品とライ麦粉を含めても60kg弱。約2/3がパンに、約1/4が菓子、パスタ、その他の食品に加工される
リーンな配合の直焼きパンとリッチな配合の軟らかいパンがある。パンは重要で、料理自慢のレストランもパンがまずいと失格といわれる。スーパーなどで冷凍生地から焼いたパンを買う人が増え、ブーランジェリーの閉店が多いが、まだ、パンの63.1%が手づくり
リーンな配合の冷凍生地からのパンは手づくりパンとは微妙な品質差があり、食感に敏感なフランス人にとってその差が消費減の一因に
(4)スウェーデン
小麦粉食品を多く食べる移民が増えたが、在来の国民の消費量は増えない。パンが最も多いが、ビスケット、ケーキ、パスタも多く食べる。家庭で白パン、褐色のパンやロール、イースト発酵の甘いコーヒーロール、ケーキなどを多く焼く
政府は毎日パンを、できれば全粒粉パンを食べるよう指導。小麦とライ麦のパンがあり、褐色パンが白パンの2倍。高繊維プレミアム全粒粉パンや繊維を多く含む白パンが伸び。クネッケブロートが高繊維で健康に良いということで伸び
無添加パンを求め、良品質には多く払ってもよいという風潮。新鮮さ、味の良さ、自然を高く評価。低脂肪、低カロリーにも関心が高い。農家の飢餓パンだった松の内側の樹皮を混ぜたパンが高繊維で健康に良いと都会富裕層に人気。スーパーで有機パンを販売
パンはトレンディで、主要都市にはベーカリーが多い。ケーキとペストリーは伸び、マフィン、クロワッサン、ドーナツなどがオフィス労働者の昼食や家庭のティータイムに食べられる。製品は小形化傾向で、シナモンロールは最も売れるペストリー
(5)イギリス
小麦粉消費量は減ったままで増えない。主用途はパンとビスケット。パン用粉の約86%が白パン、約4%が褐色パン、約10%が全粒粉パンに。有機小麦粉は小麦粉の1〜2%
99%の人が白パンを食べ、重要な栄養源で最も好まれる食品。山形食パンが多いが、外皮をパリッと焼いた田舎パン、マフィンなど、形と原材料配合が異なる多種類の伝統的なパンがある。食パン品質は低下。家庭ではスコーン、ビスケット、パンなどを焼く
バゲット、ブリオッシュ、クロワッサン、フォカッチャ、チャバタ、ナン、チャパティ、ピタなどの外国由来パンや、ライ麦パン、コーンパン、有機パン、香りが良いパンなど
政府主導でパンの食塩含量を減らし、1g/100g以下のパンが71%に。さらに減量へ
(6)中 国
1人1年当たり平均小麦粉消費量は40〜50kgで、減り気味。小麦粉の75〜80%がマントウとめん類や皮もの、13〜18%がケーキや焼き菓子類、7〜8%がパン
北部小麦産地での人口の80%の主食は小麦粉で、その70%がマントウだが、南部では米やめんが主食なのでマントウは少ない。めんは北部の食事の約20〜30%、南部の約15%
田舎から都会へ人口が移動。北部では副食が増え、米も食べるようになり、小麦粉消費が減少。南部や沿海部の都会ではパン、めん、菓子などの消費が増えて食生活が豊かになり、米消費がやや減。パン、ビスケット、ケーキ、スナックなどは砂糖が多い
(7)インド
1人1年当たり平均小麦消費量は約60 kgだが、小麦地帯では多く食べる。1人当たり穀物消費量は減少傾向だが、都市化と食生活の変化で小麦消費は増加
食用小麦の約85%は石臼小型製粉所で「アタ」(全粒粉または95〜97%歩留り粉)に加工され、家庭でチャパティなどに。約15%がロール式製粉工場でマイダ、セモリナ、末粉、アタに。マイダは比較的白い粉で、型焼きパン、クッキー、ビスケット、クラッカー、ケーキ、パイ、ペストリー、伝統的な菓子類などに加工
中間層が増え、食事に多様性を求め、ピザやハンバーガーなどの加工食品や簡便食品の需要が伸び。都会ではロール製粉工場のブランドアタ包装品の需要増。平焼きパンも製品化
(8)その他の国
エジプトは1人当たり小麦消費量が世界で最も多い。補助金付き82%歩留り粉は低所得者向けの安いbaladiパンに加工され、72%歩留り粉から作られるヨーロッパタイプのパン、クッキー、ペストリーの消費が伸び
韓国の伝統的主食は米だが、小麦粉が生活を豊かに。特に、即席めんの消費が多い
南アフリカではコーンミールが主食だったが、小麦パンも重要な食べ物に
フィリピンでは米が主食だったが、小麦粉製品も多様化し、需要が増えて食生活で重要な位置を占めるように。安い即席めんの需要が伸び
インドネシアでの主食は米だが、安い即席めんが第2の主食になり、パン、ビスケットも普及して食生活が豊かに
(9)グルテンフリー
2013年、FDAはグルテンフリーを「グルテン含量20ppm以下」と定義
欧米ではアレルギーの人が増えてグルテンフリー食品は売上増(2012年にアメリカが42億ドルで年率28%、カナダが4.5億ドルで年率27%の伸び)
通常の人ではグルテンは植物性蛋白質であり、腸内細菌を健全な状態にするのに有用だが、グルテンフリー食品が健常者にも健康利点があると誤解する消費者がいる
MGP Ingredients社(アメリカ)は、軽度に加水分解した小麦蛋白質を「Optein」として発売。ホエーや大豆蛋白質よりグルタミンが多く、筋肉回復に有効だという
(10)有 機
ヨーロッパでは有機食品の消費が伸び。ドイツの2012年の有機農業売上高は15.3億ユーロ(前年比12%増)。有機の穀物、果物、野菜は高値で取引される。オーストリアでは有機食品売上高の1/4がベーカリー製品
(1)生産と消費
生産量は増加。2013/14年度は24.41億tで、トウモロコシ9.59億t、小麦7.09億t、米4.74億t、大麦1.45億t、モロコシ6080万t、エンバク2400万t、ライ麦1750万t。トウモロコシはアメリカと中国が抜群、ブラジル、ウクライナ、アルゼンチン、インド、メキシコ、フランスなど生産国に偏り。小麦は中国1.22億t、インド9350万t、アメリカ5800万t、ロシア5210万tのほか、フランス、カナダ、オーストラリア、ドイツ、パキスタン、ウクライナなど、世界中で生産。米はアジアに集中
消費量も漸増。23.88億tで、食用(47%)と工業用(13%)が増、飼料用(35%)は変動。工業用の約半分のエタノール用はここ数年横ばい。トウモロコシが最大(9.31億t)で、飼料用(58%)、工業用(28%)、食用(11%)共に増加。米(主に食用)は増加し、4.74億t。小麦の食用も4.74億tに増え、残りの大部分は飼料用
(2)貿易と価格
貿易量は生産量の13.3%(3.24億t)、その45%は小麦、34%はトウモロコシ、12%は米。トウモロコシは生産量の11.5%、米は8.1%だが、小麦は20.7%
トウモロコシの輸出国はアメリカ、ブラジル、ウクライナ、アルゼンチンなど、輸入国は日本、EU、メキシコ、韓国、エジプト、中国など。中国の輸入量が増えるか。小麦の輸出国はアメリカ、EU、カナダ、オーストラリア、ロシア、ウクライナなど、輸入国はエジプト、中国、アルジェリア、日本、イラン、韓国、EU、ナイジェリアなど。黒海沿岸地区の小麦への依存度が高まるか。海外に農地を確保する消費国も増える
価格は高い方から米、小麦、大麦、モロコシ、トウモロコシの順。米と小麦は産地、等級による差が大。乱高下を繰り返したが、2012年をピークに下落し、やや高値圏で推移。地域的な気象条件や政治情勢などを材料に小幅な上下を繰り返す
(3)育種の動向
(a)育種期間短縮への試み
Queensland大学は夜も光を当てて1年に8世代進め、10年以上の期間を2.5年に短縮
小麦遺伝学資源センター(Kansas州)は通常の半分の6年半で作出
(b)さび病耐性小麦品種作出と導入
黒さび病は小麦収量を70〜100%減。1999年にウガンダで再発。ケニヤを経てアフリカ、アジアへ広まったUg99にFAOが警告。ケニヤ大学がIAEAとFAOの協力で、放射線照射で突然変異を加速して品種開発。パキスタンはCIMMYTの2品種を導入
(c)旱魃耐性、高温耐性品種の開発が急がれる
Stanford大の研究。生育後半の高温は光合成細胞を損傷。気温2.0℃上昇は生育期間を9日短縮、収量を20%低下。2060年代には4.0℃上昇の恐れも
Liverpool大教授がリーダーの国際チームが9万以上の遺伝子を分析、小麦ゲノム解読に成功。DNA配列新技術で害虫、病気、旱魃に耐性の高収量品種開発が可能に
日本など14か国の政府機関と国際機関による小麦収量を20年間で50%高める小麦収量ネットワークが発足。光合成を含む生理機能改良を通しての収量増に注力
(4)遺伝子組換え作物の動向
(a)作付けが増えた
2013年の遺伝子組換え作物作付面積は4.26億acre(前年比6%増)。全作付面積中遺伝子組換え品種は、大豆と綿花が81%、トウモロコシが35%、カノーラと菜種が30%
2012年の遺伝子組換え作物栽培面積の52%が発展途上国(前年比11%増)、48%が先進国(3%増)。28か国中20か国が途上国。他に31か国で認可
(b)アメリカがリーダー
作付面積中の遺伝子組換え品種はトウモロコシと綿花が約90%、大豆が約93%、サトウキビが約95%が。2013年のトウモロコシの71%が高収量品種(前年は52%)
(c)Monsanto社の世界初の遺伝子組換え小麦品種開発が最終段階
除草剤Roundup主要成分のグリホサートに耐性。拒否反応を示す市場が多い
(d)オーストラリアでも研究が進む
高収量、蛋白質消化性の改良、旱魃や霜害への耐性などを目標。実用化は数年先
2.小麦粉から見た食の変化
先進国では、小麦粉食品のバラエティ化が進み、食生活が豊かになっているが、小麦粉消費量は増えない。健康への関心は高いが、シリアルの消費が少し増えているものの、小麦全粒粉の消費は低レベル。肥満も増加
途上国では、格差が拡大し、都会や中以上の階層で小麦粉消費が増え、食生活が豊かに。今後も消費は増え続ける
(1)アメリカ
パン消費減で1人当たり小麦粉消費量は1972年に49.9kg。1980年代半ばから増え1997〜2000年は64.9〜66.6kg。再び減り61kg前後に。他の穀物消費量も多くない
家庭の夕食の料理数が減り、4番目の料理(パン)に影響。夕食のメインディッシュがサンドイッチの家庭が11〜12%に。朝食のトーストは減り、外で朝食を摂る人が増え、その約半分がサンドイッチ
小麦粉食品は焼きたてのパンやロール、外国由来のパン、ペストリー、めん、パスタ、スナック、小麦粉トルティーヤなどバラエティ化。シリアルの消費も増加。パン用粉灰分は0.6%くらいで、白パンも色がくすんできた
消費者が価格に敏感で、炭水化物とNa摂取量に関心を持ち、パン類の量と種類に注意
「アメリカ人のための食事ガイドライン」で穀物の半分を全粒穀物で摂取するよう推奨し、業界も努力しているが、小麦全粒粉は小麦粉の5%
(2)ドイツ
長期的にパンの消費が増え西欧では一番多いが、ここ数年横ばい
パンとブレーチェンがあり、ライ麦粉混合パンが主流だったが、ライ麦粉の消費が激減
小麦粉加工品は多様化。バゲット、チャバタ、ピタ、トルコパンなど外国由来のものが増加。冷凍生地がそれを容易に。白くて軽い甘いパンも好まれるように
健康への関心が高い。天然、自然、有機、非遺伝子組換え、無添加、機能性など。全粒粉パンなど自然な機能性食品が好まれるが、狭義の機能性パン(オメガ3パンなど)も伸び
(3)フランス
1人1年平均小麦粉消費量は50kg弱で、デュラム製品とライ麦粉を含めても60kg弱。約2/3がパンに、約1/4が菓子、パスタ、その他の食品に加工される
リーンな配合の直焼きパンとリッチな配合の軟らかいパンがある。パンは重要で、料理自慢のレストランもパンがまずいと失格といわれる。スーパーなどで冷凍生地から焼いたパンを買う人が増え、ブーランジェリーの閉店が多いが、まだ、パンの63.1%が手づくり
リーンな配合の冷凍生地からのパンは手づくりパンとは微妙な品質差があり、食感に敏感なフランス人にとってその差が消費減の一因に
(4)スウェーデン
小麦粉食品を多く食べる移民が増えたが、在来の国民の消費量は増えない。パンが最も多いが、ビスケット、ケーキ、パスタも多く食べる。家庭で白パン、褐色のパンやロール、イースト発酵の甘いコーヒーロール、ケーキなどを多く焼く
政府は毎日パンを、できれば全粒粉パンを食べるよう指導。小麦とライ麦のパンがあり、褐色パンが白パンの2倍。高繊維プレミアム全粒粉パンや繊維を多く含む白パンが伸び。クネッケブロートが高繊維で健康に良いということで伸び
無添加パンを求め、良品質には多く払ってもよいという風潮。新鮮さ、味の良さ、自然を高く評価。低脂肪、低カロリーにも関心が高い。農家の飢餓パンだった松の内側の樹皮を混ぜたパンが高繊維で健康に良いと都会富裕層に人気。スーパーで有機パンを販売
パンはトレンディで、主要都市にはベーカリーが多い。ケーキとペストリーは伸び、マフィン、クロワッサン、ドーナツなどがオフィス労働者の昼食や家庭のティータイムに食べられる。製品は小形化傾向で、シナモンロールは最も売れるペストリー
(5)イギリス
小麦粉消費量は減ったままで増えない。主用途はパンとビスケット。パン用粉の約86%が白パン、約4%が褐色パン、約10%が全粒粉パンに。有機小麦粉は小麦粉の1〜2%
99%の人が白パンを食べ、重要な栄養源で最も好まれる食品。山形食パンが多いが、外皮をパリッと焼いた田舎パン、マフィンなど、形と原材料配合が異なる多種類の伝統的なパンがある。食パン品質は低下。家庭ではスコーン、ビスケット、パンなどを焼く
バゲット、ブリオッシュ、クロワッサン、フォカッチャ、チャバタ、ナン、チャパティ、ピタなどの外国由来パンや、ライ麦パン、コーンパン、有機パン、香りが良いパンなど
政府主導でパンの食塩含量を減らし、1g/100g以下のパンが71%に。さらに減量へ
(6)中 国
1人1年当たり平均小麦粉消費量は40〜50kgで、減り気味。小麦粉の75〜80%がマントウとめん類や皮もの、13〜18%がケーキや焼き菓子類、7〜8%がパン
北部小麦産地での人口の80%の主食は小麦粉で、その70%がマントウだが、南部では米やめんが主食なのでマントウは少ない。めんは北部の食事の約20〜30%、南部の約15%
田舎から都会へ人口が移動。北部では副食が増え、米も食べるようになり、小麦粉消費が減少。南部や沿海部の都会ではパン、めん、菓子などの消費が増えて食生活が豊かになり、米消費がやや減。パン、ビスケット、ケーキ、スナックなどは砂糖が多い
(7)インド
1人1年当たり平均小麦消費量は約60 kgだが、小麦地帯では多く食べる。1人当たり穀物消費量は減少傾向だが、都市化と食生活の変化で小麦消費は増加
食用小麦の約85%は石臼小型製粉所で「アタ」(全粒粉または95〜97%歩留り粉)に加工され、家庭でチャパティなどに。約15%がロール式製粉工場でマイダ、セモリナ、末粉、アタに。マイダは比較的白い粉で、型焼きパン、クッキー、ビスケット、クラッカー、ケーキ、パイ、ペストリー、伝統的な菓子類などに加工
中間層が増え、食事に多様性を求め、ピザやハンバーガーなどの加工食品や簡便食品の需要が伸び。都会ではロール製粉工場のブランドアタ包装品の需要増。平焼きパンも製品化
(8)その他の国
エジプトは1人当たり小麦消費量が世界で最も多い。補助金付き82%歩留り粉は低所得者向けの安いbaladiパンに加工され、72%歩留り粉から作られるヨーロッパタイプのパン、クッキー、ペストリーの消費が伸び
韓国の伝統的主食は米だが、小麦粉が生活を豊かに。特に、即席めんの消費が多い
南アフリカではコーンミールが主食だったが、小麦パンも重要な食べ物に
フィリピンでは米が主食だったが、小麦粉製品も多様化し、需要が増えて食生活で重要な位置を占めるように。安い即席めんの需要が伸び
インドネシアでの主食は米だが、安い即席めんが第2の主食になり、パン、ビスケットも普及して食生活が豊かに
(9)グルテンフリー
2013年、FDAはグルテンフリーを「グルテン含量20ppm以下」と定義
欧米ではアレルギーの人が増えてグルテンフリー食品は売上増(2012年にアメリカが42億ドルで年率28%、カナダが4.5億ドルで年率27%の伸び)
通常の人ではグルテンは植物性蛋白質であり、腸内細菌を健全な状態にするのに有用だが、グルテンフリー食品が健常者にも健康利点があると誤解する消費者がいる
MGP Ingredients社(アメリカ)は、軽度に加水分解した小麦蛋白質を「Optein」として発売。ホエーや大豆蛋白質よりグルタミンが多く、筋肉回復に有効だという
(10)有 機
ヨーロッパでは有機食品の消費が伸び。ドイツの2012年の有機農業売上高は15.3億ユーロ(前年比12%増)。有機の穀物、果物、野菜は高値で取引される。オーストリアでは有機食品売上高の1/4がベーカリー製品
AACC Internationalの活動と現状
日本製粉株式会社
中央研究所 分析センター長 大楠 秀樹
中央研究所 分析センター長 大楠 秀樹
AACC Internationalは、言うまでもなく穀物科学研究の中心的な学会です。穀物研究を行うにあたって、AACCIの活動の恩恵にあずかっています。学会誌のCereal Chemistryは、小麦、とうもろこし、米、大麦、雑穀など、色々な穀類の研究論文を掲載しており、研究を進める上でなくてはならない知見を提供してくれますし、論文を投稿することで、世界に知ってもらうことができます。最も参考になる知見を集めたリソースではないでしょうか。また、公定試験法のAACCI approved methodは具体的な実験方法の決まりごとで、穀物の品質管理の機器の操作方法も此れに拠っていますから、認知された共通の尺度で、研究と利用の穀物の世界が一つに結び付いています。
穀物に携わる上では、あまりに身近なAACCIですが、その活動が今はどうなっているのか、これからどこに向かおうとしているのか、身近であるが故に、意外と知らないことが多いように思います。
AACC Internationalの関係者にも意見を求め、2015年に100周年を迎える、その姿を紹介します。
1.主要な活動
@年次大会
A教育
B公定法
C学会誌
D出版
2. 活動領域
@健康
A食品加工
B食の安全
C食料供給
D科学広報
3. 組織と役割
4. 日本との関係
5. 課題
穀物に携わる上では、あまりに身近なAACCIですが、その活動が今はどうなっているのか、これからどこに向かおうとしているのか、身近であるが故に、意外と知らないことが多いように思います。
AACC Internationalの関係者にも意見を求め、2015年に100周年を迎える、その姿を紹介します。
1.主要な活動
@年次大会
A教育
B公定法
C学会誌
D出版
2. 活動領域
@健康
A食品加工
B食の安全
C食料供給
D科学広報
3. 組織と役割
4. 日本との関係
5. 課題
2013 ICC CONFERENCE PERTH, AUSTRALIA, STARCH ROUND TABLE & AACC International Meeting Albuquerque U.S.A での発表
「冷凍生地の劣化防止、ショ糖脂肪酸エステルによる乾熱処理小麦デンプン粒表面の疎水性の定量、バナナを用いたグルテンフリーパン」について
「冷凍生地の劣化防止、ショ糖脂肪酸エステルによる乾熱処理小麦デンプン粒表面の疎水性の定量、バナナを用いたグルテンフリーパン」について
日本穀物科学研究会
会長 瀬口 正晴
会長 瀬口 正晴
平成25年8月24日〜29日までオーストラリア、フリーマントルで行われたICC Conference 2013, In association with the 63th Australian cereal chemistry conference に参加、口頭発表しました。
発表内容は、”Effect of polysaccharides on frozen and thawed bread dough to improve the deterioration of breadmaking properties” でした。
平成25年9月26日〜10月2日までアメリカ、ニューメキシコ、アルバカーキで行われた Starch Round Table (Sept.26-28) と AACC International annual meeting (Sept.29-Oct.2) に参加し、ポスター発表しました。
SRTでの発表内容は、
“Determination of hydrophobicity of dry-heated wheat starch granules by sucrose fatty acid ester” と “Cellulose/starch blend films prepared from aqueous sodium hydroxide solution as new food materials with characteristic features in comparison to other edible films” でした。
AACCIでの発表内容は、
“Development of gluten-free bread baked with banana flour” を発表しました。
発表内容は、”Effect of polysaccharides on frozen and thawed bread dough to improve the deterioration of breadmaking properties” でした。
平成25年9月26日〜10月2日までアメリカ、ニューメキシコ、アルバカーキで行われた Starch Round Table (Sept.26-28) と AACC International annual meeting (Sept.29-Oct.2) に参加し、ポスター発表しました。
SRTでの発表内容は、
“Determination of hydrophobicity of dry-heated wheat starch granules by sucrose fatty acid ester” と “Cellulose/starch blend films prepared from aqueous sodium hydroxide solution as new food materials with characteristic features in comparison to other edible films” でした。
AACCIでの発表内容は、
“Development of gluten-free bread baked with banana flour” を発表しました。
〜最近の麺類外食のトレンド
日清製粉株式会社
研究開発本部 商品開発センター 小麦粉チームリーダー 長井 孝雄
研究開発本部 商品開発センター 小麦粉チームリーダー 長井 孝雄
1.はじめに
売上 (外食業種別推移)
店舗数(外食業種別推移)
2.ラーメントレンド振り返り
ラーメン市場マクロトレンド
@上位チェーンへの集約化、専門店への人気集中傾向
Aラーメン以外での客単価UP!
B「濃厚豚骨魚介」系から清湯・煮干へ
Cつけ麺の定番化
広がるつけ麺市場
つけめん メニューのバラエティー
女性にも!
清湯系
激辛
ベジポタ
焼き麺
“蕎麦”にも広がるガッツリつけめんの世界
「本格」「こだわり」+「ガッツリ」
麺を食べさせる太麺市場
求められる麺の「おいしさ」
なぜ太麺
濃厚・超濃厚系
あえめん系
ガッツリ系
つけめん系
進化した伝統
札幌味噌ラーメン
濃厚味噌ラーメン
太麺やきそばが話題、定着
川越やきそば
長田本庄軒やきそば
黒石つゆやきそば
横手やきそば
なみえ焼きそば
上州太田焼きそば
女性にも人気ラーメン麺市場
ラーメン店での女性顧客の集客
3.2014年トレンド
ラーメン業界キーワード
淡麗系ラーメン
濃厚系ラーメン
新・ご当地ラーメン
女性向けラーメン店
注目の食材を使用
注目の新業態
4.麺づくりへの応用
麺の時代
求められる麺の「おいしさ」
個性とこだわり
ラーメンに求められること
おいしさへの追求
高級感・こだわり
健康・安心・安全
売上 (外食業種別推移)
店舗数(外食業種別推移)
2.ラーメントレンド振り返り
ラーメン市場マクロトレンド
@上位チェーンへの集約化、専門店への人気集中傾向
Aラーメン以外での客単価UP!
B「濃厚豚骨魚介」系から清湯・煮干へ
Cつけ麺の定番化
広がるつけ麺市場
つけめん メニューのバラエティー
女性にも!
清湯系
激辛
ベジポタ
焼き麺
“蕎麦”にも広がるガッツリつけめんの世界
「本格」「こだわり」+「ガッツリ」
麺を食べさせる太麺市場
求められる麺の「おいしさ」
なぜ太麺
濃厚・超濃厚系
あえめん系
ガッツリ系
つけめん系
進化した伝統
札幌味噌ラーメン
濃厚味噌ラーメン
太麺やきそばが話題、定着
川越やきそば
長田本庄軒やきそば
黒石つゆやきそば
横手やきそば
なみえ焼きそば
上州太田焼きそば
女性にも人気ラーメン麺市場
ラーメン店での女性顧客の集客
3.2014年トレンド
ラーメン業界キーワード
淡麗系ラーメン
濃厚系ラーメン
新・ご当地ラーメン
女性向けラーメン店
注目の食材を使用
注目の新業態
4.麺づくりへの応用
麺の時代
求められる麺の「おいしさ」
個性とこだわり
ラーメンに求められること
おいしさへの追求
高級感・こだわり
健康・安心・安全
◇懇親会の様子◇