<第162回例会>
シンポジウム「セルロース、こんにゃくグルコマンナンの食品加工への応用の現状」
日時 2015年5月16日(土) 13:00〜17:00
場所 神戸女子大学 教育センター
食品の低カロリー化が叫ばれて久しくなりますが、その中で最も低下カロリー食品への応用にこれまで注目されてきたのが、セルロースではないでしょうか。セルロースはグルコースがβ-1,4結合で結ばれた多糖類でその構成糖はデンプン(α-1,4結合)と一緒で、ブドウ糖です。この結合様式の違いで、人はセルロースを食品として利用できませんが、逆にこれを利用して低カロリー食品への応用が求められてきました。しかしセルロースという高分子はその扱いが難しく、これまで食品への応用が思うようにすすんでいません。製パン業界でもセルロースの利用に関する論文は山ほどありますが、未だ上手な利用ができていません。山根先生は、この扱い難いセルロースをアルカリで可溶化するなど画期的な研究を進めてきたこの世界のパイオニアです。本日はセルロースの基本を講演していただきながら、現在扱い難いこのセルロースをどのように改質させて食品への応用を考えてきたのか、お話していただきます。セルロースの食品への応用例として、オーミケンシ褐、究所の畑先生は、これをヌードルといて製品化し、大阪女子大学の橋本先生は様々な調理例を考案されています。そのセルロースの具体的な利用のお話をしていただきます。セルロース以外、こんにゃくのグルコマンナンもやはり食物繊維として注目されています。本多糖はグルコース、マンノースからなるβ-1,4結合の高分子ですが、最近ではコンニャクゲル形成のメカニズムなどもよく研究されています。このコンニャクを用いて米粒に模した粒を作り、広く、健康食品、腎臓病疾患者用食品として利用されています米に変わる低カロリー米として、現状のお話を大塚食品兜ス間先生にお願いいたしております。
シンポジウム「セルロース、こんにゃくグルコマンナンの食品加工への応用の現状」
日時 2015年5月16日(土) 13:00〜17:00
場所 神戸女子大学 教育センター
食品の低カロリー化が叫ばれて久しくなりますが、その中で最も低下カロリー食品への応用にこれまで注目されてきたのが、セルロースではないでしょうか。セルロースはグルコースがβ-1,4結合で結ばれた多糖類でその構成糖はデンプン(α-1,4結合)と一緒で、ブドウ糖です。この結合様式の違いで、人はセルロースを食品として利用できませんが、逆にこれを利用して低カロリー食品への応用が求められてきました。しかしセルロースという高分子はその扱いが難しく、これまで食品への応用が思うようにすすんでいません。製パン業界でもセルロースの利用に関する論文は山ほどありますが、未だ上手な利用ができていません。山根先生は、この扱い難いセルロースをアルカリで可溶化するなど画期的な研究を進めてきたこの世界のパイオニアです。本日はセルロースの基本を講演していただきながら、現在扱い難いこのセルロースをどのように改質させて食品への応用を考えてきたのか、お話していただきます。セルロースの食品への応用例として、オーミケンシ褐、究所の畑先生は、これをヌードルといて製品化し、大阪女子大学の橋本先生は様々な調理例を考案されています。そのセルロースの具体的な利用のお話をしていただきます。セルロース以外、こんにゃくのグルコマンナンもやはり食物繊維として注目されています。本多糖はグルコース、マンノースからなるβ-1,4結合の高分子ですが、最近ではコンニャクゲル形成のメカニズムなどもよく研究されています。このコンニャクを用いて米粒に模した粒を作り、広く、健康食品、腎臓病疾患者用食品として利用されています米に変わる低カロリー米として、現状のお話を大塚食品兜ス間先生にお願いいたしております。
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セルロース応用の基礎的考え方
神戸女子大学 教授
山根 千弘 氏
山根 千弘 氏
セルロースは250℃近傍で分解し始めるが、分解までに、結晶融点を持たないため、繊維状、フィルム状、中空糸状、球状など所定の形状に成型するには必然的にセルロースを溶媒に溶解しなければならない。溶解の研究はまず、溶媒の探索から始まり、1857年にシュバイツアーによって銅アンモニア溶液が見出されて以来、現在までに100種以上の多様な溶媒が見出されている。特に環境保全が問題視されるようになって、セルロースの新規な紡糸、成型用溶媒(主に有機溶媒)、およびその溶剤に適した製造プロセスの開発が欧米を中心に盛んにおこなわれてきた。しかしこれら溶媒のほとんどが特定の組成を持つ多成分系溶媒であり、溶剤回収の困難さや安全性などの問題を含み、旧アメリカンエンカ社による、N−メチルモルホリン/水系など一部を除いて工業化にはいたらなかった。現在最も広く工業的に利用されている溶解系は、高分子の概念もまだない最も初期に見出された、銅アンモニア溶解系とビスコース溶解系の2つであるが、これらも溶解プロセスで使用する重金属や二硫化炭素の回収や排出問題など多くの課題を抱えている。
今後の持続可能社会を目指す上で、最も身近に大量に存在し、毎年再生産されるセルロースを有効利用することは、きわめて重要である。ここでは、セルロースの溶解に水酸化ナトリウムと水しか使用しない、シンプルで安全な環境適合型のセルロース溶解システムを紹介するとともに、その応用例、このシステムではじめて可能になった食品への展開例を紹介する
今後の持続可能社会を目指す上で、最も身近に大量に存在し、毎年再生産されるセルロースを有効利用することは、きわめて重要である。ここでは、セルロースの溶解に水酸化ナトリウムと水しか使用しない、シンプルで安全な環境適合型のセルロース溶解システムを紹介するとともに、その応用例、このシステムではじめて可能になった食品への展開例を紹介する
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セルロースのヌードルへの食品加工 -製造と食品への応用-
オーミケンシ株式会社 畑 欣宏 氏
大阪女子短期大学 教授 橋本 和弘 氏
大阪女子短期大学 教授 橋本 和弘 氏
1.背景
セルロースは植物の成分として食されているが、パルプ由来のセルロースは食品分野では“食品添加物”として増粘性、乳化安定性、熱安定性、保形性等の機能を食品に付与する為に使用されている。しかし、低カロリー食品を目的として、一定量のセルロースを食品に添加した場合、食感が悪くなり、食品としては好ましくない。
本講演では、セルロースが食品に使用された際のセルロースの食感を改善し、ゼロカロリーのセルロースを使用することで低カロリーな食品として展開する試みを紹介する。
2.方法
セルロースの食品展開では、神戸女子大山根教授のご指導のもと、苛性ソーダ溶解法による繊維化技術を応用し、溶解・再生の過程で、@微分散処理でセルロース−水分散体を作成(ゼリー化)、A可食性多糖類との複合化により食感を改善した。
3.内容
@セルロースを苛性ソーダに溶解し、凝固回収したセルロースを酸加水分解する。これを水に分散処理することでセルロースをゼリー化した。セルロースによるゼリーは、つるりとした舌触りで噛み切った際に粘りがない。しかし、ゼリーの形成はpH依存性が高く、食品としての味付けが困難である。
Aセルロースを苛性ソーダに溶解し、麺状に凝固することでセルロースヌードルを作成した。セルロースのみで製造した麺は食感が悪くて食べられたものではないが、多糖類やたんぱく質をセルロース溶液とブレンドすることで食感の改善が可能となる。また、混合する原料種別や成分比を選択することで食感やカロリーをコントロールでき、ヌードル状だけでなくフィルム状、粒状への加工も可能である。
このたび、大阪女子短期大学 において、セルロースヌードルを用いた多くのレシピが開発された。本講演ではその一例をご試食いただき、セルロースについてご意見をいただきたい。
セルロースは植物の成分として食されているが、パルプ由来のセルロースは食品分野では“食品添加物”として増粘性、乳化安定性、熱安定性、保形性等の機能を食品に付与する為に使用されている。しかし、低カロリー食品を目的として、一定量のセルロースを食品に添加した場合、食感が悪くなり、食品としては好ましくない。
本講演では、セルロースが食品に使用された際のセルロースの食感を改善し、ゼロカロリーのセルロースを使用することで低カロリーな食品として展開する試みを紹介する。
2.方法
セルロースの食品展開では、神戸女子大山根教授のご指導のもと、苛性ソーダ溶解法による繊維化技術を応用し、溶解・再生の過程で、@微分散処理でセルロース−水分散体を作成(ゼリー化)、A可食性多糖類との複合化により食感を改善した。
3.内容
@セルロースを苛性ソーダに溶解し、凝固回収したセルロースを酸加水分解する。これを水に分散処理することでセルロースをゼリー化した。セルロースによるゼリーは、つるりとした舌触りで噛み切った際に粘りがない。しかし、ゼリーの形成はpH依存性が高く、食品としての味付けが困難である。
Aセルロースを苛性ソーダに溶解し、麺状に凝固することでセルロースヌードルを作成した。セルロースのみで製造した麺は食感が悪くて食べられたものではないが、多糖類やたんぱく質をセルロース溶液とブレンドすることで食感の改善が可能となる。また、混合する原料種別や成分比を選択することで食感やカロリーをコントロールでき、ヌードル状だけでなくフィルム状、粒状への加工も可能である。
このたび、大阪女子短期大学 において、セルロースヌードルを用いた多くのレシピが開発された。本講演ではその一例をご試食いただき、セルロースについてご意見をいただきたい。
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こんにゃくの米飯への応用
大塚食品株式会社
平間 己敬 氏
平間 己敬 氏
「生活習慣病」・「メタボリックシンドローム」などの言葉が騒がれ、「健康日本21」や「食事摂取基準(2015版)」でも個人のBMI数値管理が求められるなど、日本人の健康管理に関する関心は必然的に高められる状況にあります。その中で食品会社の一員としてできる貢献としては、食事でのカロリーコントロールが可能な食品・必要な栄養成分を補える食品を提供する事と考えます。
その中で、弊社は“マンナンヒカリ”を開発し商品化しました。日本人が昔から食べてきた“こんにゃく”に着目し、これを応用して独自の技術と考えを付加した食品が“マンナンヒカリ”です。
今回は、この“マンナンヒカリ”を生み出すに至った経緯と展開状況・吸水性能について説明していきたいと考えております。
その中で、弊社は“マンナンヒカリ”を開発し商品化しました。日本人が昔から食べてきた“こんにゃく”に着目し、これを応用して独自の技術と考えを付加した食品が“マンナンヒカリ”です。
今回は、この“マンナンヒカリ”を生み出すに至った経緯と展開状況・吸水性能について説明していきたいと考えております。
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◇懇親会の様子◇